将軍足利義詮・足利義満の近習 浜名仍海・浜名詮政や、鎌倉公方足利基氏・足利氏満の近習 浜名朝経・浜名五郎政信など、浜名氏の実像に迫る『鎌倉・小田原・遠江の浜名氏』発売!

浜名氏は、鎌倉時代後期から戦国時代までのおよそ200年間、浜名湖の南岸(湖西市)から北岸(浜松市北区三ケ日町)の広域にわたり、交通の要所を領地としてきました。東海の雄として、王者の風格があります。五代の歴代にわたり、連歌を得意とする家系でした。

浜名氏は、武人派というより、幕府の近習を務めるなど文人派として知られています。よって本書には、多くの和歌・連歌が取り入れられています。ほかの歴史書には、類を見ないものとなっています。

あらすじ

『鎌倉・小田原・遠江の浜名氏』は、おおむね3部に分けております。

第1は、奈良の浜名氏を中心としており、とくに、浜名王の叔父である秋篠王は、土師氏が菅原氏・秋篠氏・大枝氏(大江氏)と改姓して、3氏に分かれたため、秋篠氏と混同されていると言えるでしょう。敏達天皇の孫という皇統の末裔であることが、忘れさられてしまったのです。浜名王の存在にも、影響を与えています。

第2は、鎌倉の浜名氏を中心として、鎌倉・妙本寺の開基である日朗聖人とその弟子である浜名日澄・浜名日善・日行聖人の活躍および妙喜禅尼(浜名殿)・浜名尼(三浦和田氏の和田茂実室)の存在を確認しています。

第3は、遠江の浜名氏を中心としており、連歌をとおして浜名氏の歴代を考えています。その成果は、浜名詮政によってもたられました。浜名詮政は、連歌の家元である二条良基と若き将軍足利義満を結ぶ近習筆頭役となり、両者から気にいられたのです。その様子は、東城坊秀長の日記である『迎陽記』に詳しく記されています。

各章のメインテーマ

第1巻 浜名王・柿本朝臣浜名・小槻連浜名
第2巻 上京する将軍(足利義詮)
 上京する浜名氏(浜名仍海・浜名三河守・浜名詮政・浜名持政)
 下向する鎌倉公方(足利基氏・足利氏満)
 下向する浜名氏(浜名朝経・浜名五郎政信)
第2巻 北条氏照息女貞心尼・山中大炊助頼元・浜名兵庫助忠光
第2巻 浜名日澄の関連寺院
 (1)日澄寺(鴨川市天津)
 (2)鏡忍寺(鴨川市小松原)
 (3)妙本寺(鎌倉市大町)
 (4)大巧寺(鎌倉市小町)
 (5)蓮昌寺(小田原市本町)
 (6)本遠寺(名古屋市熱田区)

第2巻 浜名氏の6人の女性
 (1)浜名王(敏達天皇の後裔)
 (2)鎌倉・建長寺妙喜禅尼(浜名殿)
 (3)橘邦良室(関東浜名右馬允資家法師女)
 (4)三浦和田茂実室浜名尼 
 (5)第17代佐竹藩主佐竹義篤室浜名氏女
 (6)御嶽神社神主浜名右京亮重家家中女

第2巻 玉縄城主北条氏勝奥方様妙俊と浜名豊後守時成の同行参詣
第2巻 妙本寺過去帳に見る浜名時成「妙法」と北条「妙俊」
第3巻 玉縄城主北条氏勝をめぐる人々
 (1)上田氏 上田朝直(松山城主)・上田長則(松山城主)・上田憲定(松山城主)・上田「妙俊」(上田朝直息女)
 (2)布施氏 布施三河守康貞(北条氏家臣)・布施佐渡守康純(康則)北条氏康家臣・布施佐渡守康能、 布施康則
 (3)浜名氏 浜名豊後守時成(北条氏勝家臣)・浜名兵庫助忠光(山中大炊助頼元家臣)
 (4)北野社歌会 1442(嘉吉2年)9月24日、25日に開催
  布施民部大輔康富・浜名備中守満政が同席しています。
 (5)飯尾美濃守貞元弟連歌会 1443(嘉吉3年)6月18日
  布施民部大輔康富・浜名備中守満政が同席しています。
  布施氏・浜名氏の両氏は、武家歌壇の双璧と言われています。
第3巻 北条氏康の書状をめぐる3人の女性
 (1)蒔田殿(妙慶)北条氏康養女・吉良氏朝室
 (2)七曲殿 玉縄城主北条氏繁室
 (3)北条妙俊 玉縄城主北条氏勝室
第3巻 福島正成(福島範為)の甲斐出陣の背景
 (1)今川氏親の近況
 (2)今川軍大将朝比奈奏熈の死去
 (3)福島助春の死去
 (4)人質武田八郎の解放
 (5)今川軍の出陣と敗戦
第3巻 今川軍大将福島正成(福島範為)の討死
第4巻 京都の浜名氏(浜名三河守)の存在
第5巻 足利将軍家と浜名氏一族
 (1)足利尊氏 浜名加賀守仍海
 (2)足利義詮 浜名加賀守仍海・浜名三河守・浜名備中守詮政
 (3)足利義満 浜名備中守詮政・浜名兵庫助持政・浜名与一
 (4)足利義持 浜名兵庫助持政・浜名与一
 (5)足利義材 浜名備中守三郎政明
第5巻 浜名氏の5代の歴史
 (1)初代 浜名加賀守仍海
 (2)2代 浜名備中守詮政
 (3)3代 浜名兵庫助持政
 (4)4代 浜名備中守満政
 (5)5代 浜名備中守三郎政明
第6巻 埼玉苗字辞典と浜名氏
第6巻 北条氏規による半手支配の改革
第6巻 三留氏(見留氏)の伝承
 ―北条水軍の街富津―

この本にこめた想い・伝えたいこと(著者より)

いまから30年ほど前の1990年ごろ、私は、千葉歴史学会に入会し、千葉大学の佐藤博信教授に、勉強会でご指導を受けていました。ある日、千葉大学に伺うと、小笠原長和名誉教授が呼んでいるからと千葉経済大学まで行き、小笠原名誉教授に原稿を、見ていただくようお話があり、大変感激いたしました。その後、この原稿は『千葉史学第19号』に「中世江戸湾の海上交通」として掲載されています。

ちょうどそのころ、たまたま、千葉大学にお見えになった市村高男先生が、「浜名さんが、浜名三郎を書いたら面白そうだね」とアドバイスを受けました。このころから、漠然と構想を考えるようになりました。しかし、この30年間は、決して長くはありませんでした。資料さがしに明け暮れて過ごしましたが、そのことが楽しい思い出となっています。

『鎌倉・小田原・遠江の浜名氏』は、資料提供浜名豊後守時成の子孫福田弘夫氏・執筆三浦和田氏の子孫浜名敏夫のコンビによって、遅れに遅れて発刊されています。どうぞよろしく、お願い申し上げます。

著者プロフィール

浜名敏夫(はまな・としお)

1938年生まれ。千葉県富津市の出身。木更津第一高校・中央大学卒業。
発表論文に、「北条水軍山本氏についてー里見水軍との海戦をめぐってー」(『中世東国の地域権力と社会』岩田書院、1996年11月)、「中世房総の芸能と原氏一族―本土寺過去帳の猿楽者―」(『旧国中世重要論文修正』石綿洋平編、戎光祥出版、2019年3月)など、多数。

書籍情報

書籍:鎌倉・小田原・遠江の浜名氏
著者:浜名敏夫
出版社:パレード
発売日:2024年4月30日
ISBN:978-4-434-33795-6
仕様:A5判/並製/260ページ
価格:2,500円+税

Paradebooks:https://books.parade.co.jp/category/genre05/978-4-434-33795-6.html
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