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戦国時代の主食はどのようなものだった?

お米のイメージ

現代日本の主食といえば、白米ですよね。麺やパンを食べることも多いですが、代表的な主食といったらやはり真っ白なご飯です。

では、今から500年ほど前の戦国時代はどうだったのでしょうか。今と同じように白米がメインだったのか、それとも別の穀物を食べていたのか?

それでは、戦国時代の主食について紐解いてみましょう。
(文=東 滋実)

高級な白米も主食として食べられていた

現在私たちが当たり前のように食べている白米は、戦後しばらくまで高級なものでした。それは戦国時代も同じですが、主食として白米が食べられていたことはわかっています。

当時どの程度米食が普及していたか、それは地域差もあるため全国的に普及していたと一概には言えませんが、いくつかの例を参考に当時の主食事情を紹介します。

多くの一般庶民は純粋な白米を口にする機会は少なかったようですが、それでも農民に白米が支給されることはありました。たとえば城の普請など、人員が必要な場合は米を賃金として支払っていたケース(1517年9月26日発給「北条氏虎印状」など)です。

そのほか、戦の際にも兵一人ひとりに米や塩・味噌といった食糧が支給されていました。

ご飯の炊き方の違い

現代では、お釜に研いだ米と水を入れて炊きますよね。しかし、戦国時代は主に2つの調理法がありました。

まずは、甑(こしき)という穀物を蒸す専用の用具で蒸しあげて調理する「強飯(こわめし・こわいい)」です。

稲作が始まった弥生時代から続く方法で、特に祭事に使用される大事な白米などはこの方法で調理されました。もともと強飯とはもち米を使うもので、祭りや慶事、正月といった晴れの日に食べるものでした。そのため、戦国時代でも大事な場面では白米を強飯にしたと考えられます。現代にも同じ方法で調理するものに「おこわ」や「赤飯」がありますね。

もう一方の方法が「弱飯(ひめ)」や「姫飯(ひめいい)」と呼ばれる方法。これが現代と同じように水を加えて煮る調理方法です。

食べ方は?

通常、一般人は「米飯」といっても麦や粟などを混ぜたものを食べていたようで、それらは「半白飯」「黒米飯」と呼ばれました。混ぜ物をするのは粥として食べる場合も同様で、栗や小豆・芋・粟などを混ぜて食べていました。

そのほか、餅にしたり、天日干しにして干し飯(ほしいい)にしたり、炒って焼きメシにしたりして食べられました。これら米の加工品は日持ちがするもので、特に食物が傷みやすい夏場は干し飯や焼きメシがよく食べられたようです。

一般的によく食べられていたのは「麦飯」

先ほども紹介したように、白米は高級品でした。一般庶民は真っ白な白米を食べることはほとんどなく、麦を主食として粳(うるち)と混合するなどして食べていました。しかし、麦といっても割麦(ひきわり麦とも)がほとんどです。

白米と麦の価格差

当時白米がどれほど高級だったかというと、だいたい麦の2倍から3倍の価格でした。戦国時代に奈良興福寺の塔頭多聞院で書かれた僧侶らの日記『多聞院日記』の永禄10年6月8日の項を参照してみると、「米一石ウル、代八百廿七文、一斗二升五合ツヽ、小麦七斗六升、代四百文、一斗九升ツヽ」とあり、この時の相場では白米が小麦のおよそ倍であることがわかります。

味が悪い「ため汁」などを混ぜて

当時の麦飯はおいしいと感じる味ではなかったそうで、どうにかおいしく食べる工夫をということで、山芋をすってとろろをかけたり、かつおの出汁をかけたりして味を加えてから流し込むように食べることもあったそうです。

保存がきく麦は麺類などに加工された

麦は挽いて粉末にし、小麦粉としてさまざまな加工品にされました。そのひとつが麺です。うどん・きしめん・そうめんなどに加工され、来客の接待時に酒とともに饗されることも多かったようです。

保存がきく小麦の粉末は、麺や饅などに加工できる利便性から、贈答品としても重宝されました。

戦国の主食は意外とバリエーション豊富!

戦国時代は現代のように誰もが真っ白な白米を食べるという環境ではありませんでした。しかし、麦や粟などほかの穀物を混ぜて食べたり、保存しやすい工夫を施したりと、意外と調理法はバリエーション豊富であることがわかります。

特に、米を天日干しにしたり、生米のまま炒って焼きメシにしたりする調理法は、現代のように食料の保存が簡単ではない戦国時代の人々にとって理にかなった方法でした。

米を蒸す「強飯」の調理法は現代のものとは異なっていて少し驚きますが、その文化は「おこわ」として現代にも残っており、時代や食生活に違いはあってもつながりは見出だせる。現代と比較してみるとそうしたおもしろさもあります。





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