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【古墳愛好家必見!】八角墳の謎に迫る

2022年3月6日に、奈良県明日香村にあり、斉明天皇のお墓と考えられる牽牛子塚(けんごしづか)古墳の復元整備が終わり、一般公開が行われました。
復元整備された牽牛子塚古墳は白い凝灰岩で覆われた八角形の古墳の形をしています。
皆さんにとっておなじみの古墳は鍵穴の形の様な前方後円墳であり、八角形の古墳はあまり聞いた事は無いと思います。
今回は八角形の古墳(八角墳)の紹介と、八角形であることの謎に迫りたいと思います。

主な八角墳 5選


段ノ塚古墳(だんのづかこふん)

奈良県桜井市にある7世紀中ごろの古墳。舒明天皇のお墓として宮内庁に管理されています。天皇のお墓として初めて八角墳が採用された例であると考えられています。凝灰岩の1種である榛原石が使用されています。

※舒明天皇押坂内陵(wikipediaより)

牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)

奈良県明日香村にある7~8世紀ごろの古墳。斉明天皇と孫娘の太田皇女が埋葬されたお墓だと考えられています。二上山凝灰岩が墳丘の石組みに使用され、当時は真っ白な姿であったと考えられています。出土遺物は棺の破片や金具の一部、ガラス玉などです。

※牽牛子塚古墳(wikipediaより)

御廟野古墳(ごびょうのこふん)

京都府京都市にある7~8世紀ごろの古墳。天智天皇のお墓として宮内庁に管理されています。花崗岩の切石を八角形に並べている墳形です。

※天智天皇 山科陵 拝所(wikipediaより)

野口王墓(のぐちおうのはか)

奈良県高市郡明日香村にある687年築造の古墳。天武天皇と妻の持統天皇が埋葬された墓だとして宮内庁に管理されています。
石室内には天武天皇が埋葬された棺と、持統天皇が火葬された後の骨壺が納められているとされていますが、鎌倉時代に盗掘されています。

※天武天皇・持統天皇檜隈大内陵 拝所(wikipediaより)

中尾山古墳(なかおやまこふん)

奈良県高市郡明日香村にある8世紀初頭の古墳。埋葬者ははっきりされていませんが、文武天皇のお墓だと考えている研究者が多いです。須恵器の破片や沓の形の石造物が出土しています。

※中尾山古墳(wikipediaより)

なぜ八角形なのか?


インドのストゥーパ(仏さまの遺骨を納める塔や土盛り)を平面的に見たら八角形の形をしており、ストゥーパを古墳で再現したという説があります。

※インドのボロブドゥール遺跡にあるストゥーパ
また、八角形は古代中国での「守るべき方角」を示しており、古代中国の思想や理念が日本の古墳に表れているという説もあります。

おわりに

謎の多い八角墳を今回は5つ紹介しましたが、不明なものも含めて八角墳は日本にまだまだあります。興味のある方は是非調べてみてください。
また、現在復元された牽牛子塚古墳も含め、実際に訪れてみるのもいいのかもしれません。

※参考文献
明日香村教育委員会2015『明日香村文化財調査研究紀要』第14号
明日香村教育委員会・関西大学文学部考古学研究室2020『中尾山古墳』現地説明会資料
大塚初重・小林三郎編1982『古墳辞典』東京堂出版

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  この記事を書いた人
まっさん さん
お寺が好きなどこかの大学院生です。 考古学を専攻しており、古代日本史が大好きです! 将来の夢は文化財専門職

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