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【近畿との繋がりが分かる?】太宰府の古代瓦をご紹介

はじめに~ 太宰府の古代瓦とは?

近畿地方には古代瓦が沢山あり、出土したお寺の名前や地方の名前によって型式名が多くつけられています。

この型式名は近畿地方だけでなく、他のどの地域でも存在するものです。今回は九州地方で特に有名な二つの古代瓦の型式を紹介し、近畿地方とのつながりを解説します。

老司式軒瓦と鴻臚館式軒丸瓦(図1)

●老司(ろうじ)式軒瓦
福岡県の老司瓦窯で作られた軒瓦で、桶巻き作りという手法で作られています。

軒丸瓦は、丸い模様が連なった珠文帯が上下にデザインされています。内側では2枚の花びらがくっついた蓮の花がデザインされています。

軒平瓦は、ノコギリの歯の様なギザギザの模様が外側の上下にデザインされています。内側は偏行唐草文のデザインです。

●鴻臚館(こうろかん)式軒丸瓦
太宰府政庁が建てられた際に作られたこの瓦は福岡県女原窯で、老司式と同じ桶巻き作りに生産されたと考えられています。

軒丸瓦は、丸い模様が連なった珠文帯、またはノコギリの歯の様なギザギザの模様が外側の上下にデザインされています。内側では2枚の花びらがくっついた蓮の花がデザインされています。

軒平瓦は、軒丸瓦と同じく丸い模様が連なった珠文帯、 またはノコギリの歯の様なギザギザの模様が外側にデザインされています。内側は偏行唐草文のデザインです。

※(図1)軒瓦の文様 右:鴻臚館式軒瓦、左:老司式軒瓦  パッと見はそっくりですが、所々違う所があるのが分かります。

2つの軒瓦から分かること

●老司式軒瓦から分かること
文様が奈良県藤原宮や、同じく奈良県薬師寺から出土した軒瓦と同じです。近畿にある朝廷によって文様が決定したと考えられています。

老司式の瓦が葺かれた福岡県観世音寺は、天智天皇と深い関係があります。この事も、老司式の瓦の文様と近畿地方の瓦の文様が同じである事の理由かもしれません。

●鴻臚館軒瓦から分かること
文様が、奈良県興福寺から出土した軒瓦と酷似しています。しかし、奈良県平城宮跡から出土した軒瓦とも似ている点があります。これは、近畿地方の瓦の文様をベースにしつつ、新しいデザインの文様を作り出したのでは無いかと考えられています。

おわりに~ 太宰府の古代瓦を見に行こう!

では、太宰府の古代瓦はどこで見ることができるのでしょうか?

老司式の瓦は福岡県観世音寺の宝蔵院で観ることができます。また、鴻臚館の瓦は福岡市立博物館や鴻臚館資料館で見ることができます。

どの施設も、貴重な資料を納めており、一見の価値があります。福岡県を訪れた際は、ぜひ太宰府の古代瓦たちを見に行ってみてはいかがでしょうか。

※参考文献
岩井省三 2009「老司式・鴻臚館式軒瓦出現の背景 」『九州大学総合研究博物館 研究報告』
福岡県教育委員 2011『 鴻臚館(こうろかん)」に葺(ふ)かれた瓦の窯跡を発見』 記者発表資料
山崎信ニ 2011 『古代造瓦史 ─東アジアと日本─』雄山閣

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  この記事を書いた人
まっさん さん
お寺が好きなどこかの大学院生です。 考古学を専攻しており、古代日本史が大好きです! 将来の夢は文化財専門職

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