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【福岡県最古の装飾古墳】日岡古墳をご紹介

はじめに ─日岡古墳とは?─

日岡古墳とは福岡県うきは市にある古墳です。全長74mの前方後円墳で、6世紀前半から中ごろに造られたと考えらへています。また、横穴石室内の奥壁には福岡県最古の彩色壁画があります!
今回は美しい壁画を有している日岡古墳を紹介します!

1、日岡古墳の壁画(図1・写真1)

▶︎畿科学模様
同心円の文様は最大50cmの大きさで、色は赤、緑、青、黒とカラフルです。この同心円は鏡を表しているのか?太陽を表しているのか?未だに謎な文様です。

また、三角が連続している文様や山菜のわらびの様な文様も同じ色使いで描かれています。これらも現在の研究では何を示しているのか…明らかにされていません。

※(図1)日岡古墳の代表的な装飾一覧。左:三角文、中央:同心円文、右:わらび手文

▶︎具体的な模様
馬、舟、鳥、盾、釼(つるぎ)も描かれています。鳥獣に関しては、中国の古墳で朱雀やヒキガエルといった動物が描かれています。この壁画の共通点から、高句麗を始めとした大陸文化が日本に導入された影響によって描かれています。 

また、武器の絵や人物像も大陸文化を受け継いでおり、当時の戦乱や黄泉の国の様子を描いているのではないかと考えられています。

また、継体天皇21年(527年)に福岡県で起こった磐井の乱の後に造られた古墳に見られるデザインであるらしく、磐井の乱に影響を受けた古墳ではないか…とも考えられているそうです。

磐井の乱とは、当時の韓国に攻め入ろうとした大和王権の軍を、筑紫国造磐井という人物が妨害し、王権に反旗を翻した事件です。

※(写真1)日岡古墳の石室内実測図

3、装飾古墳と壁画古墳

▶︎装飾古墳(6世紀ごろ)
・王塚古墳(福岡県桂川町)
同心円文や蕨手模様をはじめとした幾何学模様や太刀、槍、矛、盾といった武器、鳥獣が描かれています。

・珍敷塚古墳(福岡県うきは市)
同心円文や蕨手模様をはじめとした幾何学模様や太刀、槍、矛、盾といった武器、鳥獣、船を漕ぐ人が描かれています。鳥の導きによって船を漕いで黄泉の国(あの世)に行く過程を表しているのではないかと考えられています。

・虎塚古墳(茨城県ひたちなか市)
同心円文を中心とした幾何学模様や太刀、槍、矛、盾などの武器がベンガラで描かれています。

▶︎壁画古墳(7世紀から8世紀)
・高松塚古墳(奈良県明日香村)
中国の伝説由来の四神・星宿・人物群像・日月像が描かれています。しかし、四神のうちの朱雀は盗掘によって無くなっています。

・キトラ古墳(奈良県明日香村)
中国の伝説由来の四神・星宿・十二支獣人像・日月像が描かれています。

おわりに ─装飾古墳をあるく・まなぶ─

装飾古墳は福岡県や熊本県を始めとした九州地方に多く存在しています。

カラフルな装飾古墳に興味を持った方は是非、福岡県うきは市の吉井歴史資料館とセットで、装飾古墳の現地に訪れてみてはいかがでしょうか?

※参考文献
岡本顕2015『原・日本の心象風景 装飾古墳』郷土歴史シリーズ11 さわらび社
吉井歴史資料館配布の資料

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  この記事を書いた人
まっさん さん
お寺が好きなどこかの大学院生です。 考古学を専攻しており、古代日本史が大好きです! 将来の夢は文化財専門職

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