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安芸の宮島に伝わる七不思議

養父崎の神鴉(おおがらす)

「神宿る島」と言われる宮島は、厳島神社をはじめとして島全体が信仰の対象となっています。厳島神社の神様が当地に鎮座される前、宮島を巡ったそうです。その巡行になぞらえて行われるのが、「御島巡り(おしまめぐり)」。その途中に行われる神秘的な神事が「御鳥喰(おとぐい)式」です。

養父崎(やぶさき)浦に小さな筏(いかだ)を浮かべ、米粉を海水で練った粢(しとぎ)団子を六つ献じます。その団子を夫婦の神鴉が飛来し、団子をくわえて厳島神社方向に去れば、その年に災いが起こらないとされます。穢(けが)れを嫌う神鴉、もしカラスの姿が現れない時は、何か災いに襲われる前兆となります。

日本も世界も大きく揺れ動いている近年、カラスの姿を見ないままに神事が終わることも少なくないようです。

天狗の足跡・松明(たいまつ)・拍子木(ひょうしぎ)

宮島に雪が降った後、神社の屋根に積もった雪を見ると天狗の足跡が残っているそうです。団子を持ち去る夫婦の神鴉の足跡なのかどうかわかりませんが、どこかのカラスの足跡だと思われていました。しかし天狗の足跡と言われだしたのは、カラスのものよりずっと大きかったからなんです。

年末が近づいた頃の弥山の山頂。ユラユラと揺れる不思議な灯火が見えるそうです。この灯火は、人が持つ松明の火よりは相当に大きいので、それゆえ宮島の人々は不気味に思い天狗の仕業と考えたそうです。

拍子木はペアになった縦長の細長い木。あの「火の用心」の時に使われますね。カ~ン・カ~ンという、済んで鳴り響く音が特徴です。その拍子木の音が、誰もいない弥山の山中から聞こえてくるんです。それを宮島の人々は、天狗が鳴らしていると思っていました。

消えずの火

弥山の山中付近に建っているのが「霊火堂」というお堂。このお堂には囲炉裏があって、806年に弘法大師が修行のためにくべた火が、今日まで燃え続けているそうです。この火で沸かしたお湯は、万病平癒の効力をもっているといわれています。

現在でも、永遠に燃え続ける炎が「永遠の愛」に通じるとされ、今では恋人の聖地としても登録されて、多くのカップルが訪れています。

弥山の霊

夕方も深くなって暗くなってきた頃、島内の海岸を歩いていると、周りに誰もいないのに話し声が聞こえてくるそうです。不思議な声を聞いて立ち止まると、今度は背中の方から呼び止める声が聞こえてくるとか。

驚いて振り返って見ても、誰もいません。そんな経験をした宮島の島民の皆さんは、弥山の霊の仕業と考えて云い伝えてきたそうです。

龍灯の杉

毎年の旧正月の夜になると、たくさんの灯火が出現します。その様子は、まるで龍が神社に灯明を献上しているように見えると伝わっています。瀬戸内の漁師さんの間では、瀬戸内海の激しい渦潮の流れは龍の棲家だと恐れられていたそうです。

この様子は弥山の山頂にある大杉のところから見るのが、最高のビュースポットとされていました。そのために「龍灯の杉」と呼ばれていたのですが、残念なことに今では枯れてしまい、現在では切り株だけしか残っていません。

木々の間から瀬戸内海が見えるスポットであることは間違いないのですが、果たして「龍燈」の正体はいったいなんだったのでしょうか?

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  この記事を書いた人
五百井飛鳥 さん
聖徳太子に縁のある一族の末裔とか。ベトナムのホーチミンに移住して早十数年。現在、愛犬コロンと二人ぼっちライフをエンジョイ中。本業だった建築設計から離れ、現在ライター&ガイド業でなんとか生活中。20年ほど前に男性から女性に移行し、そして今は自分という性別で生きてます。ベトナムに来てから自律神経異常もき ...

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