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天皇の案内をした導きの神、八咫烏とは何だったのか?
- 2024/12/02
八咫烏(やたがらす)とは、日本神話において神武天皇を先導したとされる三本足の烏のことです。烏と呼ばれているため、神様もお仕えや家来のように思われがちですが、実は立派な神様でもあるんですよ。
そんな八咫烏ですが、なぜ三本足だったのでしょうか。そしてなぜ太陽の化身とされたのでしょうか。今回は、八咫烏の正体について迫ります。
そんな八咫烏ですが、なぜ三本足だったのでしょうか。そしてなぜ太陽の化身とされたのでしょうか。今回は、八咫烏の正体について迫ります。
八咫烏とは?
八咫烏は、日本神話における「神武東征」に登場する三本足の烏のことをいいます。神武天皇が東征を行った時、熊野から大和へ入る危険な山中の道を、安全に導くため天照大神から遣わされた烏なんですよ。一般的に八咫烏は、危険な熊野を避けながら大和の橿原まで、神武天皇を無事に先導したことにより、導きの神とされているんです。実はこの八咫烏の正体は、日本神話に登場する神様・鴨建角身命(かもたけつのみのみこと)だったとも言われています。
そして八咫烏は、導きの神であって太陽の化身とも。八咫烏が太陽の化身だということは、諸説伝わっているのですが、古来より太陽を表す数が「三」とされてきたことに由来するという説が有力なようです。八咫烏の足が三本になっていることから、太陽を連想させたと考えられますね。
三本足の烏
日本神話に登場する八咫烏は、神武天皇の先導を務めたことで有名なのですが、日本の歴史においての八咫烏は意外にも古くからその姿を現しています。奈良県にあるキトラ塚古墳の壁画にも、太陽と共に三本足の烏が描かれているんですよ。しかし八咫烏が三本足の烏であるというような記述は、『古事記』にも『日本書紀』にも見当たらないのです。三本足の烏であることが書かれているのは、平安時代中期に書かれた辞書が最古の文献となっています。それが『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』で、この中に三本足の烏の記述が残っているのです。
『倭名類聚抄』が作られた頃、中国や朝鮮で伝説の鳥とされていた「三足烏(さんそくう)」という烏が認識されていたために、八咫烏が同一視されたのかもしれませんね。故に、三本足の烏の姿になったとされているのでしょう。
神武天皇の危機
『古事記』『日本書紀』によると、兄の五瀬命(いつせのみこと)と共に日向の国を出発した神武天皇、道中で知り合った者を仲間にしながらどんどん進んでいきました。いわゆる「神武東征」とされる話ですね。ですが途中で奇襲に合い、兄の五瀬命は亡くなってしまいます。それでも一行は何とか進み、やがて熊野の村へとたどり着くことに・・・。その時、熊野山には熊の姿をした荒々しい神がおり、その神の毒気に触れた神武天皇一行は、正気を失って死んだように寝込んでしまいます。
どうする事も出来ない神武天皇一行でしたが、熊野の高倉下(たかくらじ)という名の者が一振りの剣を持って現れたのです。そしてその剣の霊力により、神武天皇一行は正気を取り戻します。高倉字にその剣のことを尋ねた神武天皇、高倉字は夢の中に天照大御神が現れ、高木神(タカギノカミ)と共に、神武天皇の救出を建御雷神(たけみかづちのかみ)に命じたそうです。
そのとき建御雷神は「自分が行かなくてもこの剣を降ろせばよい」と答えます。そして目を覚ました高倉字が倉に行くと、夢の中の剣があったので神武天皇に献上しに来たということでした。
実は神武天皇自身も、不思議な夢を見ていたのです。高木神が夢の中に現れ、この奥には荒々しい神々が多数いるからここより奥へ立ち入ってはいけないというのです。そして天から八咫烏を遣わし道案内をさせるので、それに従って進んで行けば良いと言われたそうです。
神武天皇は、高倉字より献上された剣を持ち、八咫烏の先導に従って旅を続け、見事無事に大和の橿原に到着したのでした。
ちなみにこの献上された剣は、布都御魂(ふつのみたま)・佐士布都神(さじふつのかみ)・甕布都神(みかふつのかみ)などの別名でも呼ばれ、現在奈良県天理市にある石上神宮のご神体となっています。
サッカー日本代表のシンボルにも
八咫烏の姿は、遠い昔の壁画などにも残されてきましたが、文献によると神武天皇の道案内を務めたこと以外に、日本神話には登場していないんです。しかし「三本足の烏」という、日本の神様の中では珍しくはっきりと表現された姿から、非常に有名な神様となっています。また現在では、日本サッカー協会および日本代表のシンボルマークにもなっていて、日本チームを勝利に導くご利益をいただいているんですね。このことで八咫烏を知ったファンからも、パワーのある神様として国民から親しまれています。
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