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アニメや映画で知られる「孔雀王」、孔雀明王真言って何?

国宝 孔雀明王像(出典:<a href="https://colbase.nich.go.jp/?locale=ja">ColBase</a>)
国宝 孔雀明王像(出典:ColBase
 「孔雀王」のことは、アニメや映画などでご存じの方も多いのではないでしょうか?実際は、病魔退散のご利益があるという孔雀明王(くじゃくみょうおう)の真言です。

 明王というと不動明王や愛染明王(あいぜんみょうおう)など、恐ろしい形相の仏様が真っ先に浮かんできますよね。しかし孔雀明王は、とても穏やかな慈悲の表情を浮かべた明王として知られています。孔雀明王の真言に関わる、経典の意味やご利益を解説します。

災いや苦痛を取り除く孔雀明王

 孔雀明王の真言は次の一文になります。「オン・マユラ・キランディ・ソワカ」。4つの聖音が持つそれぞれの聖音の意味は、

  • オン:合掌や拝礼の意
  • マユラ:雄の孔雀
  • キランディ:強大な力
  • ソワカ:成就祈願の意

です。4つの聖音をまとめると、大願成就に向けて魔除け、及び煩悩退散の力が授かるよう孔雀明王様にお願いするといった意味になります。

 孔雀明王だけでなく、ほとんどの仏の真言は南アジアの古代語サンスクリット語が基となっています。サンスクリット語で表現されるチャクラは、円・円盤・車輪などを意味する語で、ヒンドゥー教のタントラや仏教の後期密教では、人体の頭部・胸部・腹部などにある中枢を指す言葉として用いられています。

 孔雀明王真言が影響を与えるチャクラは、胸のあたりにある胸腺のチャクラとなります。胸腺には様々なホルモンバランスをコントロールする部位が集まる重要な臓器なんです。胸腺の部位となるチャクラが開くことで、免疫力の増加や老化防止の効果が期待できます。

 悪魔や煩悩といった無形の災いだけでなく、身体の不調など目に見える苦痛も退けてくれるところが、この真言が長きにわたり、ありがたがられてきた要因といえるでしょう。

孔雀明王とは

 真言とは、サンスクリット語のマントラの訳語で、仏の真実の言葉及び秘密の言葉という意味です。密教経典に由来する言葉で、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられる呪術的な語句なんです。

 インドの女神マハーマーユーリーという神様を知っていますか?今回取り上げた孔雀明王は、この女神に由来する仏様なんですよ。インドにおいて毒蛇は煩悩の象徴で、その毒蛇を食べるのが孔雀。そのために魔除けや煩悩退散の法力がある孔雀明王が信じられているのです。

 様々に存在する明王は、話しても理解できない民衆に対し、憤怒の形相で戒め、正しく導いていただける仏様です。ですので不動明王や愛染明王といった明王の多くは、怖ろしい表情を浮かべていて剣や杵といった武器を携えています。

 しかし孔雀明王は全く違うのです。柔和な表情で武器も一切もたない、親しみやすい仏様といえるでしょう。孔雀明王は仏典に登場した最古の明王としても知られていて、奈良時代には、雨乞いや鎮護国家の最重要のお経でした。まさにその場で孔雀明王の真言が使われていたのです。

役小角の神通力

 修験道の開祖である役小角(えんのおずぬ)も、奥深い山中での修行では、ずっと孔雀明王の真言を唱えていたそうです。孔雀明王の真言を唱え続けた結果、役小角は空を飛んだり、陰陽師でいう式神と同様の鬼神を自在に操れる神通力を引き出せるようになりました。

 また、真言宗の開祖である空海も、孔雀明王を釈迦如来と同一の存在と考えていました。更に天台宗の開祖となる最澄も、密教の修行をする人々に霊験あらたかな孔雀明王経をすすめたそうで、特に密教では大切にされていた仏様であることがわかりますね。

煩悩を食べる鳥

 インドの荒野にはたくさんの孔雀が生息していますが、その他の動植物の生息数は極端に少なく、まともなタンパク源といえば蛇にサソリくらいしかいません。そんな環境で生きる孔雀は、これらの生物を食べるのですが、毒に当たることはありません。そしてそれだけでなく、毒の養分を吸収して自分の羽を美しく彩っています。

 厳しい環境の中で毒虫を食べて美しくなる孔雀。そのために悩み・災い・煩悩を、更に高度な次元に飛躍させる功徳があると、人々は考えたのでしょう。

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  この記事を書いた人
五百井飛鳥 さん
聖徳太子に縁のある一族の末裔とか。ベトナムのホーチミンに移住して早十数年。現在、愛犬コロンと二人ぼっちライフをエンジョイ中。本業だった建築設計から離れ、現在ライター&ガイド業でなんとか生活中。20年ほど前に男性から女性に移行し、そして今は自分という性別で生きてます。ベトナムに来てから自律神経異常もき ...

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