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山梨県大月市に残る桃太郎伝説とは
- 2022/11/17
大月市にはJR 中央本線の駅が4つある。その1 つが鳥沢駅だ。駅の北側へ出ると、すぐに国道20 号線が通っており、賑やかではないけれどその街並みに甲州街道の宿場町であった頃の面影を残している。
鳥沢宿は上鳥沢宿と下鳥沢宿からなる合宿(あいじゅく)で、江戸時代、宿場町の問屋場の業務は、上鳥沢と下鳥沢が月の半分ずつ交互に行っていたという。2 つの宿場町は隣接しており、その中間あたりに現在のJR 鳥沢駅が位置する。ちなみに、上鳥沢と下鳥沢の位置関係は、江戸方面である東側が「下」で、京方面となる西側が「上」だ。
鳥沢宿の東には、甲州街道の犬目宿がある。犬目宿は葛飾北斎の冨嶽三十六景シリーズに「甲州犬目峠」として登場する場所だ。犬目峠は甲州街道で最も高いところであるとされ、浮世絵には峠にさしかかる人と馬、その先にはまさに峠をのぼっている旅人たちが描かれ、時間の経過を感じさせる構図になっている。
一方、鳥沢宿の西側には、甲州街道の猿橋宿がある。橋脚のない珍しい構造の名勝猿橋は、猿が連なって川を渡ったことに着想を得て作られたものとされ、日本三奇橋の1つでもある。
犬目、鳥沢、猿橋の地名が連なる大月市。ここは日本各地に残る「桃太郎伝説」が伝わる土地でもある。
大月桃太郎伝説のお話は、
「昔むかし、おばあさんが桂川で洗濯をしていると、ももくら山の麓から大きな桃が流れてきて、中から桃太郎が生まれた。鶴島で大きくなった桃太郎は、きび団子をあげて、犬目でイヌを、鳥沢でキジを、猿橋でサルを家来にし、岩殿山に棲む悪い鬼の退治に出かけた」
というものだ。大月市賑岡町に残る「鬼の杖(おにのつえ)」は、鬼が手に持っていた石の杖を放り投げたと伝わるもの。看板には
「岩殿山の赤鬼が桃太郎一行に追い詰められて投げつけた左手の石杖がここに突き刺さったと言い伝えられています」
とある。突き刺さった時に地響きがしたという場所は、石動という地名となったとも。大月桃太郎伝説のお話に登場する「百蔵山」は、山梨県大月市にある標高1003mの山で「山梨百名山」の1つ。山頂から富士山がきれいに見える「秀麗富嶽十二景」にも選ばれている山。
大月駅前の観光案内所では「大月桃太郎伝説の里めぐりMAP」を無料配布しており、マップには「鬼の岩屋(円通寺新宮跡)」「鬼の血(子神神社)」「鬼の盃(手洗石)」「桃太郎地蔵(石船地蔵)」なども掲載されている。マップを手に市内を歩いてめぐるのも楽しそうだ。
※参考文献:大月市観光協会HP
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