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極楽浄土を再現!兵庫県小野市にある国宝「浄土寺」

春の浄土堂
春の浄土堂
 兵庫県の中部に位置する小野市。なかなか訪れる機会が少ないですが、実は歴史ある古刹が多く、中でも「浄土寺」は極楽浄土を模した寺で、貴重な国宝が現存しています。今回はそんな浄土寺の歴史やみどころをご紹介していきます。

重源上人との関係

 極楽山「浄土寺」は、鎌倉時代初期に重源上人が建立したと言われる寺院です。

 治承4年(1181)、平清盛の命を受けた平重衡率いる平氏軍が、平氏政権に反抗的な態度をとる寺社勢力に対して粛清をはかります。そして東大寺・興福寺などの奈良(南都)の仏教寺院を焼き討ちする事件が起こりました。「南都焼き討ち」と言われており、これにより多くの仏像や貴重な文化財などが失われました。

 重源上人はその復興につとめた人物で、佐波川を使って木材を運搬したというエピソードでも知られています。復興にあたり、信仰と造営事業の拠点のひとつとして、浄土寺を建立しました。

東大寺別所とは?

現在の東大寺大仏殿
現在の東大寺大仏殿

 重源上人は後に東大寺の大仏・大仏殿を復興させますが、南部は焼き討ち当時はかなりの被害を受けていました。そこで東大寺の復興のための拠点として、全国7ヶ所に「東大寺別所」をつくりました。

 別所は以下のとおりです。

  • 播磨別所 浄土寺浄土堂
  • 周防別所 阿弥陀寺
  • 伊賀別所 新大仏寺
  • 東大寺別所 東大寺浄土堂
  • 高野新別所 高野山円通寺
  • 渡辺別所
  • 備中別所

 資材の確保や金銭的な問題、そして何より信仰の拠点を全国に広く置いておく必要があったようです。

浄土寺にある国宝とは

春の浄土堂
春の浄土堂

 浄土寺の境内は今は歩いて回れるほどの敷地になっています。

 浄土寺の中で最も有名なのは浄土堂であり、その中には阿弥陀三尊立像があります。この「浄土堂」と「阿弥陀如来三尊像」はともに国宝に指定されています。

 浄土堂は東大寺の南大門と同じ建築構造であり、現存するのはこの2ヶ所だけだそう。内部が広く、中央に快慶作の阿弥陀如来三尊像がいらっしゃいます。

浄土寺の仕掛け

 浄土堂には仕掛けがあり、阿弥陀三尊像の背後にある戸を空けると西日が差し込み、堂内が光に満ちてまるで「極楽浄土」のような荘厳な雰囲気に。

 お釈迦さまが雲に乗って西方浄土から迎えに来るという「御来迎」のような光景が見られます。西日を背に立つ仏像は立像でもあり、高さは5.3m(須弥壇を含めると7.5m)もあるというので迫力満点。さらに鎌倉時代初期から大きな修復などもなく、地震や戦争、天災などにも耐えその姿を残している貴重な仏像でもあります。

 浄土寺には他にもお堂があり、重源上人像などの文化財もあります。

浄土寺の阿弥陀堂
浄土寺の阿弥陀堂

 さらに裏にある山はハイキングコースになっていて、四国八十八ヶ所もでき、紫陽花の名所もあるので、ゆっくり訪れても楽しめるお寺です。

歴史好きの方にも注目して欲しい絶景

浄土寺の本堂
浄土寺の本堂

 西日というと拝観時間ギリギリに行かなければ、と思う方もいるかもしれませんが、春や秋の16時ごろがベストなのだそう。特に夏から秋ごろが特に美しく見えるといいます。残念ながら堂内は撮影禁止となっているので、この姿をご覧になりたい方はぜひ出かけて見て下さい。

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  この記事を書いた人
ゆかた さん

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