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恋多き女と言われる「和泉式部」が訪れた貴船神社は縁結びのパワースポット

 「光る君へ」で話題の平安時代。紫式部や清少納言といった歌人が活躍した時に、同時に宮仕えをしていた和泉式部。詠んだ歌は百人一首にも選ばれており、才能があった歌人として知られています。しかし、実は和泉式部は恋多き女としてスキャンダルを起こしたこともあり、当時話題の人だったようです。

 今回はそんな和泉式部と、和泉式部が恋愛成就の御利益を求めて訪れた貴船神社についてもご紹介していきたいと思います。

和泉式部が恋多き女と言われるのは何故?

 和泉式部は大江雅致という下級貴族の娘として970年代頃に生まれたといいます。

 貴族の教養を身につけ成長し、橘道貞と結婚。999年に道貞は和泉守に任じられ、赴任に同行しました。このことから「和泉式部」と呼ばれるようになったとされています。娘を出産するなど、順風満帆の生活を送っていましたが、冷泉天皇の皇子である為尊(ためたか)親王と恋に落ちてしまいます。当然橘道貞とは離婚、そして親からも勘当されてしまいました。(離婚時期については諸説あります)

 しかし、為尊親王は若くして亡くなってしまいます。失意の底にいた和泉式部は為尊親王の実弟であった敦道(あつみち)親王と親密になり、とうとう恋仲に。敦道親王の妃が家出し離婚するなどのスキャンダルを巻き起こします。それでも関係を続け、男児を儲けるに至りました。しかしその翌年、敦道親王も若くして亡くなってしまいます。

 立て続けに恋人を亡くした和泉式部ですが、その才能は高く評価されており、一条天皇の中宮・藤原彰子の女房となり、宮中で文才を発揮。当時、彰子の周囲には紫式部など歌才のある女性が仕えていて、互いに歌才を発揮し合うという「サロン」の様な会があったそうです。和泉式部もそこに加わり、赤染衛門や伊勢大輔などと交流しました。

 藤原彰子の紹介で、彰子の父・藤原道長に仕えていた藤原保昌と再婚。1015年には夫である保昌が丹後守に任じられ、丹後国へ行った記録が残っています。

 その後の詳細についてはあまり記録が残っていませんが、藤原保昌は年上であったため和泉式部よりも早くに亡くなり、和泉式部はどういった晩年を過ごしたのかは不明となっています。

和泉式部と貴船神社

 和泉式部が藤原保昌と結婚したのは和泉式部が30代前半、保昌は50代だったと予想されます。そのためもあってか、なかなか夫婦仲はうまくいっていなかったそうです。そこで和泉式部は、夫との仲を改善しようと貴船神社に参拝しました。

貴船神社がパワースポットの理由

 貴船神社の御祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)です。

 その昔、瓊々杵命(ににぎのみこと)が木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を娶ろうとした時、木花咲耶姫命の父の大山祇命(おおやまつみのみこと)が姉の磐長姫命も一緒に娶ってはどうか、とすすめたそう。しかし瓊々杵命は木花咲耶姫命だけを妻にしたいと意志を変えなかったため、姉である磐長姫命はそれに傷つき、誰の元へも嫁がずこの地にとどまり縁結びの神様になったという伝説があります。

 それ以降、磐長姫命は恋愛成就の神様として多くの信仰を集めました。平安時代も、このことから縁結びの御利益を求めて訪れる方が多かったのでは?と思われます。

和泉式部が詠んだ歌

「ものおもへば 沢の蛍も わが身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる」

 和泉式部はこの歌を残しています。貴船神社は現在でも山にあり自然豊かな場所にあります。当時からその雰囲気が変わっておらず、どこか神聖な空気が漂う場所であったことがうかがえます。

 和泉式部がこの歌を詠んだ後、男性の声で返歌が聞こえたそうです。

「おく山に たぎりて落つる 滝つ瀬の 玉ちるばかり ものな思ひそ」

 現代風にいうと、あまり深く考えるなというアドバイスのような歌です。貴船神社が思い悩む和泉式部にお返しの歌を詠んでくれたのかもしれませんね。実際その後和泉式部は藤原保昌と地方に赴任しているので、穏やかな生活をおくることができたのかもしれません。

当時に思いを馳せながら貴船神社を訪れてみては

 貴船神社は現在でも京都観光の人気スポットです。市内から気軽に行ける距離ではなくアクセスも良くないのですが、市内の神社仏閣とは雰囲気が全く違い、日本古来の雰囲気や、どこか神聖な空気感を感じることができる不思議な場所です。

 和泉式部のように恋に悩んでいる方はもちろん、普段とは違うスポットを訪れたい方にもおすすめ。京都を訪れる予定のある方はぜひチェックしてみて下さい。

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  この記事を書いた人
ゆかた さん

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