「茶の湯」の精神世界を表現するインスタレーション・アート作品を3月9日(月)より中部国際空港で展示
- 2020/03/06
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【投稿】戦ヒス編集部
【中部国際空港 開催概要】
日 時 : 令和2年3月9日(月)~
場 所 : 中部国際空港(愛知県常滑市)国際線到着コンコース
内 容 : 「茶の湯」をテーマにアート集団「The TEA-ROOM」によるインスタレーション・アート作品を展示
公式ウェブサイト:https://jmadm.jp/
中部国際空港では,新たな「茶の湯」のあり方を探求するアート集団「The TEA-ROOM」による「茶の湯」をテーマにした作品を,国際線到着コンコースにて令和2年3月9日(月)より展示します。
※中部国際空港では,《SOTOROJI #0》と《VOID SYSTEM》の2つの作品を展示する予定でしたが,センターピアガーデンにて展示を予定しておりました《VOID SYSTEM》は、新型コロナウイルス感染状況を考慮し、皆様の安全確保と感染拡大防止のため、展示を中止することとなりました。
中部国際空港のある愛知県西部はかつて尾張と呼ばれ,16 世紀の戦国大名であり後に天下人になった織田信長の出生の地です。織田信長は「茶の湯」を重用し,侘び茶の完成者であり茶聖ともいわれる千利休を従え,その文化を武将たちへ広げました。日々争いが絶えずいつ死ぬかもわからないこの時代の侍たちは,精神を整え,平常心を取り戻す手段としての「茶の湯」を活用し,その美学を武士道の思想に取り入れていきました。
織田信長が生まれた城の跡地周辺に築城した名古屋城には4つもの茶室が設けられ,織田信長の実弟で千利休の弟子である織田有楽斎が建てた国宝茶室「如庵」は犬山市に移築されました。さらに空港からほど近い常滑市には茶器にも使われる日本六古窯の一つ「常滑焼」の産地があり,西尾市には抹茶の原料である「てん茶」の全国有数の生産量を誇る茶畑があるなど,愛知県には「茶の湯」文化や歴史を直に感じることのできる場所が数多くあります。
「茶の湯」は,抹茶を飲む行為だけではなく,禅とも深く関わる,複数の空間とプロセスに分かれた非日常を体験できる和の総合芸術でもあります。今回,中部国際空港で公開する「茶の湯」の空間とプロセスを表現したメディア芸術作品が,「茶の湯」に興味を持っていただくきっかけになることを目指しました。中部国際空港へ到着された皆様には,作品を通じた体験と併せて,実際に「茶の湯」にまつわる場所にも足をお運びいただき,日本文化の価値観・精神性・美意識に是非触れていただけたらと思います。
文化庁では,「空港等におけるメディア芸術日本文化発信事業」のプロジェクトの一環として『メディア芸術×文化資源 分散型ミュージアム』を国内の空港 10 箇所で展開中です。
本プロジェクトでは,日本各地域の土壌が育んだ豊かな文化資源をアーティスト・クリエイターたちがその魅力を新たな視点で表現し,各地域の玄関口である空港等で展示いたします。展示されたメディア芸術作品をきっかけに,訪日観光客を日本文化の新しい魅力に出会う旅へと促します。
【中部国際空港における実施概要】
■テーマ:茶の湯「外露地」
■作品:《SOTOROJI #0》解説
茶人たちは水墨画などに描かれているような幽玄の世界に憧れ,その世界観を茶室と茶会で表現してきました。茶室は庭園含め世俗の塵を払いながら徐々に幽玄の世界へ誘うように設計されています。その最初の空間で,露地口(庭園の入り口)から世俗と幽玄の世界を仕切る中門に至るまでの露地を外露地と呼びます。
「The TEA-ROOM」は,世俗の象徴を「お金」ととらえ,キャッシュレス化が進む現代において「お金」を代替する存在ともいえる QR コードを生成する独自のプログラムを開発し,外露地を表現しました。近くで見ていては見ることのできない,全体を俯瞰した時にはじめて立ち現れる構造や表層の奥にある広大で深遠な精神世界を見てほしいというメッセージが込められています。
本作品は,名古屋市協力のもと,名古屋城旧本丸御殿障壁画『竹林豹虎図』『槙楓椿図』『麝香猫図』(すべて国指定重要文化財)をモチーフに制作されました。
『竹林豹虎図』(名古屋城本丸殿 玄関一之間東側襖絵4面)
『竹林豹虎図』(名古屋城本丸御殿 玄関二之間西側襖絵4面)
『槙楓椿図』(名古屋城本丸御殿 表書院二之間東側襖絵2面)
『麝香猫図』(名古屋城本丸御殿 表書院三之間西側襖絵2面)
■アーティスト:The TEA-ROOM
「茶の湯」にまつわる作家が集まるアート集団。茶の湯を庭,建築,絵,書,香,華,音,器,食,衣,礼で構成される日本の総合芸術として捉え,そのコンセプトをテクノロジーやストリートカルチャーなどを通じて現代的に翻訳し,新たな空間の設計や体験のプロデュース,アート作品の制作を行っている。
現在は,茶人の松村宗亮,和菓子作家の坂本紫穗,建築家の佐野文彦,書道家の万美,陶芸家の横山玄太郎,華道家の萩原亮大,表具師の井上雅博が所属。ディレクターをコンセプトデザイナー/社会彫刻家の青木竜太が担う。
■クリエイティブ・プロデューサー:ヴォロシティ株式会社
コンセプトデザイナー/社会彫刻家の青木竜太が率いるヴォロシティ株式会社は,新たな価値創造を行うコ ミュニティの創出・運営を専門とするデザインファームとして2011年に設立。現在は,主にアート&サイエンス分野で,コンセプトデザイン,コミュニティデザイン,プロジェクトデザインや事業開発を行う。価値創造活動を支える目に見えない構造の設計を得意とする。
ARTIST: The TEA-ROOM
PRODUCER & DIRECTOR: Ryuta Aoki
PROJECT MANAGEMENT: Keita Uno
EXHIBITION DESIGN: Jiro Endo
GRAPHIC DESIGN: Takeshi Kawano, Sosuke Sugiura WEB DESIGN: Takao Neko
PRODUCTION SUPPORT: MINIMA
SOTOROJI #0
PRODUCTION SUPPORT: dsgarage
SPECIAL THANKS: Nagoya City
VOID SYSTEM
SOUND SYSTEM DESIGN: Motoki Ohkubo
SOFTWARE DESIGN & DEV: Atsushi Masumori, Itsuki Doi, Norihiro Maruyama
PRODUCTION SUPPORT: ALTERNATIVE MACHINE
<中部国際空港開催概要[詳細]>
日時: 令和2年3月9日(月)~
※公開時間は中部国際空港開館時間に準ずる。
場所: 中部国際空港国際線到着コンコース
アーティスト: The TEA-ROOM
クリエイティブ・プロデューサー: ヴォロシティ(株)
協力: 中部国際空港(株),名古屋市
主催: 文化庁「令和元年度空港等におけるメディア芸術日本文化発信事業」
センターピアガーデンにて展示を予定しておりました《VOID SYSTEM》は、新型コロナウイルス感染状況を考慮し、皆様の安全確保と感染拡大の防止のため、展示を中止することとなりました。
■テーマ:茶の湯「茶室」
■作品:《VOID SYSTEM》 解説
茶の湯には「市中の山居」という思想があります。これは都市の喧騒の中にありながらも山奥の小屋にいるような静けさを演出することであり,それを楽しむ美意識でもあります。古来茶人は,露地や茶室など空間やプロセスを用いて,俗世界から離れ幽玄の世界に入り込む装置を作り出してきました。
本作品は,従来の素材で物理的な茶室を作るのではなく,茶室が生み出す現象を最先端の ALIFE(Artificial Life)テクノロジーで再現する現代的な茶室です。茶室の持つ結界をミニマルな要素で表現し,その四畳半の結界内のみで「市中の山居」を体験することができます。外界の音を遮り静寂を作るのではなく,逆に可聴域を超える音も含め生成することにより静けさを作り出します。生成される音は,移ろう季節や生命の営みと同じように,いくつかの時間スケールで変化していきます。