コフンにコーフン ~古墳へGO!~
- 2024/04/10
また、某ドラマには古墳の形をした “古墳クッション” がさりげなく登場し、奈良県や大阪府ではふるさと納税の返礼品として採用した自治体もあり、ブームになっています。
古墳は約1500年前から残るタイムカプセルのような場所です。皆さんもぜひ、実際に古墳へ行ってみましょう!そこで、より「コフンにコーフン」できるよう、古墳の見かたや楽しみかたをご説明します。
古墳に行くときの心得
実際に古墳へ行く前に知っておいて欲しい心得を挙げてみます。心得1:近所に迷惑をかけないこと!
“古墳に駐車場は無い” が基本だと思ってください。間違っても路上駐車や他人の敷地内に車を停めるようなことはしないでください。また、コフンにコーフンして大きな声を出したくなっても我慢しましょう。近くに住宅があるなら勿論のこと、畑や山中でも付近で仕事(作業)をしている人がいる可能性があります。驚かせてしまいますからね。
さらに、民家や畑の中に古墳がある場合、必ず一声かけて見学の許可を得ましょう。誰もいない場合は「ラッキー☆」ではなく、近づくのは諦めて遠くから眺めるだけにしましょう。
心得2:来た時より美しく!
人里離れた古墳や綺麗に整備された古墳で食べるおにぎりは最高です。所謂「墳ピク(古墳ピクニック)」ですね。 ゆっくり景色を楽しんだり、古墳時代に想いを馳せたり、埋葬者や埴輪の気分になってみたり・・・。古墳の楽しみ方は人それぞれ。でも、帰る時はゴミをしっかりと持ち帰りましょう。
心得3:服装と下調べはしっかりと!
綺麗に整備された古墳の場合は特に問題ありませんが、大抵の古墳は草木に覆われています。特に夏場は蚊や虻といった虫だけでなくマムシやヒルの対策に
「帽子・長袖・長ズボン・長靴」
といった装備で行った方が良い場所もあります。(冬でも枯れた草木の枝で手足を切ることもありますが、冬に半袖半ズボンの人は居ないか・・・)
そこで「行こうとしている古墳がどんな場所にあって、どんな状態なのか?」と下調べはしておくべきです。博物館には“見学に適している古墳の紹介パンフ”が置いてあったり、インターネットで紹介されていたりします(グーグルマップはオススメ)。
便利な世の中になりました。
古墳の見かた、楽しみかた
先ほども書きましたが、“古墳の楽しみかたは人それぞれ”ですから、自由に見て楽しむのが一番です!因みに筆者は、以下の視点で古墳を見て楽しみます。古墳のある立地
何故そこに古墳を造ったのかを考えてみます。大抵は見晴らしの良い(良かった)場所に造られているハズです。また、登れる場合(立入禁止の古墳もあります)は必ず登ります。被葬者の気分を楽しみましょう。古墳の形や大きさ
元の形のまま残っている古墳は残念ながら少ないです。しかし、そこは想像(妄想?)で楽しみます。また、周囲を歩けるなら必ず歩いて色々な角度から見ます。自分だけのお気に入り“映えスポット”が見つかるかも?埋葬施設
横穴式石室や石棺が残されている(入れる)古墳は大アタリです。中に入れる場合(禁止されている古墳もあるので注意)は迷わず入ります。使用されている石材の大きさや加工具合、積み方など見所満載です。事前情報と比較
できれば事前にその古墳の情報を調べておきましょう。現地に説明板があれば問題ありませんが、無い古墳も多いです。大きさはどれくらいか、どんな物が発見されたのか等々の情報です。事前情報を基に実物を見れば、更に想像(妄想)が膨らみますよ。上記4つの視点の中でも、特に「古墳のある立地」は、消滅した古墳(古墳跡)に行った時には重要な視点です。一応、参考にしてみてくださいね。
自転車は最強の墳活ツール
古墳めぐり(墳活)する時、小回りがきく自転車は非常に便利です。先述したように、古墳に駐車場が無い場合の方が多いのと、結構細い道を通らなければならないことがあるからです。また、自転車で走ると、古墳だけでなく、他の遺跡や雰囲気良さげなお店なども発見でき、古墳のある地域全体を楽しむ事もできます。まさに自転車は最強の墳活ツールと言えるでしょう。
なお、「百舌鳥・古市古墳群(大阪府)」や「埼玉古墳群(埼玉県)」、「西都原古墳群(宮城県)」といった古墳群や奈良県飛鳥地域のような古墳密集地には“レンタサイクル”がありますので、自転車を持っていない人や運ぶのが面倒な人は利用してみるのはいかがでしょうか?
筆者オススメ古墳ベスト5+α
ここで筆者の100%主観によるオススメ古墳ベスト5を紹介します。第5位:高尾山古墳(静岡県沼津市)…全長62mの前方後方墳
道路建設のため、取り壊しが決定していた古墳ですが、発掘調査の結果、「東日本最古級の前方後方墳」の可能性があることが分かり、沼津市だけでなく、全国から保存を求め要望・歎願が出され、保存されることになりました。また、日本考古学協会からは
とまで言わしめた “日本一幸せな古墳(by沼津市埋蔵文化財センター職員)” を見たいのならココ!
第4位:石舞台古墳(奈良県高市郡明日香村)…一辺51mの方墳(上円下方墳?)
蘇我馬子の墓といわれ、歴史の教科書に必出のメジャー古墳です。ここはとにかく石室(とその石)がデカい!しかも、この古墳はそれ以前に存在していた複数の古墳を壊してその上に造ったという、規模も造られ方もまさに権力の象徴。
絶対的権力の強さを肌で感じたいならココ!
第3位:森将軍塚古墳(長野県千曲市)…全長100mの前方後方墳
山の尾根上に造られた古墳なので墳丘からの眺めが抜群です。狭い尾根上にあるため歪な形となった前方後円墳を“少しでも歪に見えないよう”にした工夫(努力)の跡と、東日本最大級の竪穴式石室(麓の森将軍塚古墳館で展示)が見どころです。
古墳から支配地を見下ろす王様の気分になりたいならココ!
第2位:埼玉古墳群(埼玉県行田市)…8基の前方後円墳と1基の大型円墳を中心に構成
横から見る墳丘の形が美しすぎる二子山古墳(全長132mの前方後円墳)や、“獲加多支鹵大王”の銘文が有名な鉄剣が出土した稲荷山古墳(全長120mの前方後円墳)、忍城攻めの際に石田三成が陣を張った日本で2番目に大きい円墳の丸墓山古墳(直径105m)など、100m級の古墳がゴロゴロ。更に20m級の小円墳(跡)も多数見ることができ、日本一欲張りな古墳群、と言っても過言ではないでしょう。古墳をたっぷり楽しみたいならココ!
第1位:保渡田古墳群(群馬県高崎市)…100m級の前方後円墳3基から構成
出土した舟形石棺を間近で見られる薬師塚古墳(全長100m)や綺麗に整備された二子山古墳(全長103m)、そして復元整備された八幡塚古墳(全長96m)だけでなく、直ぐ近くの“かみつけの博物館”を含め、「埴輪大国グンマ」を存分に堪能できる場所です。特に、八幡塚古墳に復元された埴輪群は狩猟の様子を再現しており、弓矢で猪を仕留める人と矢で負傷(血を流す)猪の埴輪は必見です。
とにかく、古墳と埴輪を満喫したいのならココ!
更に、このベスト5にプラスして “どうしてもオススメ” したい古墳を最後に紹介したいです。
それは…
皆さんの「近所にある古墳」です!!
住宅地化して消滅している古墳でも構いません。博物館に行くと “埋蔵文化財地図” が大抵ありますので、自分が住んでいる場所の近くに古墳があるのか(あったのか)調べてみましょう。ひょっとしたら、ただの森と思っていた所が古墳だったり、昔からよく訪れていた神社が古墳だったり、自分の家の下が古墳だったりするかも。
古墳を身近に感じられるのではないでしょうか? ぜひ、コフンでコーフンしてみてください。
【主な参考文献】
- 『古墳解読 古代史の謎に迫る』武光誠 河出書房新社(2019年)
- 『知識ゼロからの古墳入門』広瀬和雄 幻冬舎(2015年)
- 『日本の古代を知る 古墳まるわかり手帖』広瀬和雄 二見書房(2023年)
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