大河ドラマ「べらぼう」 寛政の三奇人・高山彦九郎が恐れを抱いた天明の大飢饉の惨状とは?
- 2025/07/07

大河ドラマ「べらぼう」第26回は「三人の女」。
田沼意次が老中の時代、いわゆる「天明の大飢饉」が発生します。冷害や浅間山の噴火などにより凶作となり、諸国で餓死者が多発する惨状を呈するのです。特に奥羽・関東地方の被害が甚大だったのですが、飢饉の凄まじい光景を目の当たりにした1人に高山彦九郎(1747〜1793)がおりました。彦九郎は上野国(群馬県)の人で、諸国を歴遊して勤王思想を提唱し、最後は九州久留米で自刃したことで有名です。京都の三条大橋にぬかずいて皇居を拝んだこともよく知られており「寛政の三奇人」に数えられています。

その彦九郎が奥羽を旅している時のこと。山路を踏み分けているうちに道に迷ってしまいます。これはどうしようもないと彦九郎は、高い峰によじ登り、高い所から行くべき道を見つけようとします。すると山の間から人家の屋根が微かに見えました。これは助かったと喜び勇んで草木を押し分けて麓の人家の方に下りていく彦四郎。ところが村里に辿り着いてみても、人の気配がありません。(どうしたことか)と辺りを見回せば、田畑の道は茫々たる草むらとなり、家々は倒れ傾いていたのです。
不思議なことだと思いつつ、彦九郎は一軒の空き家を覗いてみました。そこで彦九郎が目にしたのは人間の白々とした骨が散乱している様だったのです。大いに驚いた彦九郎は、物凄い光景に恐れを抱き、すぐにその空き家から走り出ます。人がいる里に向かいたいと路を尋ねようとしても誰もいません。荒れ果てた村には路もないような有様でした。彦九郎は迷いに迷いつつも、やっと人里に辿り着き、そこで人心地つくのでした。飢饉による餓死者が白骨化したものを彦九郎は目にしたのです。
おそらく、他の人家にも同じように人骨が散乱していたものと想像されます。飢饉による飢餓により村人は死に絶え村里が消滅していたのでした。
【主要参考文献】
- 大塚久『鈴木為蝶軒』(鈴木為蝶軒翁景徳会、1925年)
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