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【べらぼう】徳川将軍の日常生活の実態、一番のリラックスタイムとは?

  • 2025/12/08
:歴史学者・作家・評論家
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 大河ドラマ「べらぼう」第47回は「饅頭こわい」。

 「べらぼう」においては吉原遊廓の様子だけでなく、江戸城における将軍や大奥の様も描かれています。特に同ドラマでよく描かれてきたのが10代将軍の徳川家治です(11代将軍の徳川家斉も登場してきました)。

 では徳川将軍の普段の生活とはどのようなものだったのでしょうか。将軍が常日頃、起居したのは「中奥」でした。そして将軍の正室や側室、女中など多くの女性が住んでいたのが「男子禁制」の「大奥」です。大奥に入ってすぐのところにあるのが「蔦の間」であり、ここが大奥での将軍の寝所となりました。

 将軍が寝所に入るのが午後10時頃。そして翌朝の6時には起きることになります。午前6時頃、本丸中奥から「もう」という声が響きます。小姓の声です。「もう」というのは「もう上様(将軍)はお目覚めでござる」の略語でありますが、省略しすぎな感もします。

 将軍は洗顔した後、袴を着け、大奥に向かい、仏間に入るのです。そこで正室と共に歴代将軍の位牌を拝むのです。拝礼が終わると中奥に戻り、朝食をとります。朝食は米飯、味噌汁、野菜、煮物、魚などでした。

 朝食が終わると将軍の結髪が始まります(小姓と櫛番が月代を剃ったり髷を結います)。その間に典医(医薬を司どり仕える者)が将軍の脈を診て、健康チェック。朝8時頃になると幕府の要人(若年寄や奏者番など)が登城してくるので、将軍は彼らから朝のご機嫌伺いを受けます。

 10時には老中が登城し政務開始。将軍は奥女中から朝の挨拶を受けることになります。

 正午になると今度は昼食です。将軍は中奥の小座敷で昼ご飯を食べます。午後1時頃から将軍の政務時間となります。政務熱心な将軍ならば夕方まで書類に目を通しました。

 午後6時になると入浴タイム。小姓が糠袋で身体を洗ってくれました。入浴後は夕食ですが、夕食は大奥でとりました。夕食後、9時頃まで将軍は気ままな時を過ごします。小姓を相手に囲碁や将棋をしたり、和歌を詠んだりしたのです。将軍の一番のリラックスタイムと言うべきでしょう。

 さて、将軍の就寝は前述したように夜の10時頃。大奥で泊まる「奥泊り」以外は、中奥で寝ることになります。将軍の生活は日々同じことの繰り返し、規律・規則に縛られていたのです。


【主要参考文献】
  • 安西篤子監修『江戸城大奥100話』(立風書房、1989年)

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  この記事を書いた人
はまだ・こういちろう。歴史学者、作家、評論家。1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。 武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。兵庫県立大 ...

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