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『紫式部日記』に『御堂関白記』 大河ドラマ「光る君へ」の時代の様子を綴る日記を紹介
- 2024/08/19
当時の日記に書かれていた内容は、どんなものだったのでしょうか?今回はドラマにも出てくる有名な日記をご紹介していきます。
平安時代の日記とは?
現代でも日記をつけている人が多くいるとは思いますが、日々起こった大事なことや、ご家族の成長記録、仕事で記録しておきたいことなど、どちらかというとプライベートな出来事を残している方が一般的かもしれません。しかし、平安時代の貴族は多くの人が日記を残しており、政務や様々な儀式などについても記録していたそうです。そして日記を後に他人が読むことを前提としていて、「仕事の引継ぎ」としての正式な文章、創作を含む「文学作品」など、様々な側面を持っていました。
ちなみに、日本最古の日記文学は紀貫之が記した『土佐日記』です。これは紀貫之が土佐国から京都に帰る最中に起きた出来事をつづったもの。当時漢文が主流だった中、ほとんどを仮名で日記風に綴った作品で、後の作品に大きく影響を及ぼしたとされています。
『蜻蛉(かげろう)日記』
藤原道長の異母兄弟であった藤原道綱。その母・藤原道綱母が書いた日記で、平安時代の女流日記のさきがけ的存在でした。
内容は夫である藤原兼家との結婚生活や息子・養女のことなどについてです。宇治の鵜飼に関する記述もあり、現代に鵜飼の歴史を伝える資料のひとつにもなっています。大河ドラマでは藤原道綱母を女優の財前直見さんが演じ、紫式部(まひろ)と偶然出会い交流を持つ場面も描かれました。
『和泉式部日記』
小倉百人一首にもその歌がおさめられている有名な歌人・和泉式部が書いた日記です。歌人らしく、日記の中に和歌が登場するのも特徴のひとつ。恋多き歌人として知られる和泉式部の恋愛模様が描かれていて、他の日記とはまた少し違った日記のひとつです。『紫式部日記』
源氏物語を書いた紫式部の日記です。
紫式部は藤原道長の要請で、その娘、中宮彰子につき宮中に上がりますが、その後、寛弘5~7年(1008~1010)までの様子を描いた日記と手紙から構成されています。
他の人の日記には登場しない人物の消息がここから判明したり、また紫式部から見たその人の人物像が書かれていたりと、その時代を知る貴重な資料のひとつになっています。
『更級日記』
菅原孝標女が13歳(1020年)の頃~52歳頃(1059年)までの約40年間をつづった日記です。「光る君へ」の時代より少しあとの時代となりますが、『源氏物語』への言及もある貴重な日記です。後の時代に人気が出た日記で、江戸時代には広く流通していたそうです。作者の菅原孝標女は藤原道綱母の姪(母の異母姉が『蜻蛉日記』の作者・藤原道綱母)だそう。
平安三大日記
ここまでは女流日記をご紹介しましたが、当時帝に近い立場であった貴族が描いた日記も貴重な資料のひとつです。平安三大日記として、同時期に宮中にいた3人の日記が注目されています。
『御堂関白記』
藤原道長が著した日記で、998年から1021年の間の出来事をつづったものです。現存する世界最古の直筆日記とされ、国宝に指定。さらにユネスコ記憶遺産(世界の記憶)にも登録されています。娘や孫(後の天皇)のことや、宮中の儀式のことなど道長でなければ知り得なかった貴重な記述が多くあります。ちなみに、道長は関白ではなく「御堂関白記」は通称です。
『小右記』
大河ドラマではロバート秋山さんが演じる藤原実資の日記です。982年から1032年までの藤原道長親子の全盛期の宮中の様子や儀式を詳細に記録してあり、平安時代の大変重要な史料とされています。ドラマでは藤原実資が日記をつづっている様子も出てくるので、気になっていた方も多いかもしれませんが平安時代の日記と言えば「小右記」の名前があがる程有名な日記です。記述は全体的に辛口だといい、藤原実資の性格もうかがい知ることができます。
『権記』
一条天皇の蔵人頭としても活躍した藤原行成の記した日記です。行成は、書道の能書家としても知られ、三跡にも数えられています。日記は991年から1011年までのものと、1026年までの逸文が現存しているそう。平安中期の政情・貴族の日常を記録した貴重な資料のひとつです。平安時代のリアルな生活がわかる資料
平安時代中期は、多くの作家が活躍した文学の時代でもありました。政治家も日記をつけていて、現代にも宮中の様子や人物模様を多く伝えています。現代の日記とは少し異なりますが、そこに生きていた人々の生活模様や思いなどさまざまな事柄がわかります。
現代語訳されている日記も多いので、「光る君へ」がきっかけで平安時代に興味を持った方も、ぜひチェックしてみて下さいね。
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