これは中国の覇者となった毛利元就が死の間際、嫡男・毛利隆元、二男・吉川元春、三男・小早川隆景、孫・毛利輝元ら子供たちを一同に集めて語ったときの話である。
━━ 元亀2(1571)年、吉田郡山城 ━━
お前たちの衰えた武勇で天下を望もうとしても無理じゃ。。
ハァ・・ハァ・・・・。よいか?わしの武威を手本とするのじゃ。
毛利家は中国、吉川家は山陰、小早川家は筑前・築後・豊前をしっかりと治め、三家が互いに支え合って行くのじゃ。
そして、元就は矢を取り出すと、子供たちに1本ずつ矢を渡した。
??
それをへし折ってみるのじゃ。
子供たちはそれをいとも簡単に折ってみせた。すると今度は子供たちに3本ずつ束になった矢が渡されたが、誰一人としてこれを折ることはできなかった。
フフフ。どうやらその束になった矢を折るのは無理なようじゃな。お主ら、わしの言いたいことはわかるな!
!
!!
うん?
・・・そういうことじゃ。
この矢1本であればたやすく折れる。しかし、このように3本束ねるとそう簡単に折れるものではない。お主たちはこのことを肝に命じ、心をひとつにして仲よくし、決して仲互いするではないぞ!
すると、これを聞いて三男・隆景が前にでて言った。
何事も欲から生じることでございます。欲を捨て、義を守ったならば、我ら兄弟が喧嘩することはございません。
そうかそうか!!隆景のその言葉。いつまでも忘れるでないぞ!
と、元就は大いに喜んだ。すると今度は嫡男・隆元の子である輝元がさらに教えを請うべく、元就にたずねた。
お祖父様!それがしにも何かお教えください!
・・・お前はわしに対するのと同じように、2人の叔父に対しても同様によく耳を傾るのじゃ!
さすれば、わしの業を守り続けることができるじゃろう。。
こうして子供たちに教訓を残した元就はこの世を去ったのであった。