大河ドラマ「べらぼう」 蔦屋重三郎が遊女・瀬川を身請けする?しかし、身請けは大変だった!?

 大河ドラマ「べらぼう」第9回は「玉菊燈籠恋の地獄」。主人公・蔦屋重三郎が想いを寄せる遊女・瀬川の身請けを約束する話が描かれていました。

 身請けとは、遊女の身代金や前借金などを代わって払い、遊郭での務めから身を引かせることを言いました。遊郭の客がお気に入りの遊女を指名し、遊女の仕事を辞めさせる訳です。しかし身請けはそう簡単なことではありません。先ず最初に遊郭の楼主に「この遊女を身請けしたいのだが」ということを相談し、承諾を得なければいけません。「良いですよ」ということになれば、客はその遊女の身代金(借金)を払わなければいけないのです。

 そもそも遊女になる女性の生い立ちは不遇でした。その女性の親が貧しい生活を乗り切るために、娘を遊女屋に売るのです。娘の身を金に代える(身代金)のです(なかには、自らの意思で遊女屋に飛び込む女性もいたようですが、大抵は親に売られた女性が多かったとのこと)。このように親が娘を遊女屋へ売ることを「身売り」と言いました。人身売買の一種です。そうした経緯があり、身請けの際には、その遊女の身代金を客が払う必要があったのでした。

 とは言え、高級遊女ともなれば、身請けの金額も莫大。千両以上が必要だったと言われています。一般庶民に払える金額ではありません。普通の遊女でも約50両ほどは払わなければならず、身請けは大変だったのです。身請けされた遊女は「苦界」(妓楼)から抜け出ることができたので幸せだったと言えるでしょう。年季が明けても、借金を返すために身を売り続けなければいけない遊女が多かったと言われていますので「玉の輿」に乗れた女性は幸運という訳です。


【主な参考文献】

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  この記事を書いた人
濱田浩一郎 さん
はまだ・こういちろう。歴史学者、作家、評論家。1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。 武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。兵庫県立大 ...

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