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【麒麟がくる】第4回「尾張潜入指令」レビューと解説

東滋実
 2020/02/10

「麒麟がくる」第四回レビュー用

第4回は冒頭で「小豆坂の戦い」の説明を済ませます。織田信秀が今川義元家臣の太原雪斎と戦って随分痛い目にあわされた、勢力が削がれたことが説明されました。

この戦いは天文17(1548)年3月。第4回の尾張潜入はそれから数か月後の夏です。
(文=東 滋実)

鉄砲に興味がない? 道三父子のすれ違い

先週、義龍と一緒に鉄砲の試し撃ちをしていた光秀でしたが、今回は義龍の姿はなく、家臣の藤田伝吾をお供に練習をしています。まだ始めたばかりでなかなかうまく命中しません。

わざわざ堺まで行って手に入れた鉄砲、義龍は「父上は興味がないから興味がない人間(義龍自身)に任せるのだ」なんてネガティブなことを言っていました。

ところが今回、道三は光秀に「鉄砲はどんな感じか」と尋ね、戦に使えるようなら使ってみたい、と言います。おまけに、「鉄砲のことなら直々にわしに言うことを許す」とまで嬉しそうに言うのです。

全然話が違う。興味津々じゃないの…(笑)

義龍はまるで父親のことがわかっていないようです。そしておそらく、道三のほうでも義龍のことをわかっていないのでしょうね。

今回、義龍は一度も登場しませんでした。前回の最後で、父ではなく頼芸に従う、という決意を打ち明けた義龍。

今回一度も画面に出てこない間いったい何をしていたのか、不在であるからこそなんか怪しいのです。もしかして義龍は父打倒に向けて既に動き出しているのでしょうか。

傷を受けた織田信秀はだいぶヤバい?

小見の方の具合がだいぶ良くなったので、東庵は褒美をもらって京へ帰ることになったのです。が、これも疑り深い道三のおかげでそう簡単には帰れない……。

東庵は尾張の信秀とつながりがあることを知られ、おまけに双六で負けた10貫の借金があることまで知られ、駒を人質にとられて「信秀の病状を探ってこい」と命じられるのです。

道三と関わったばかりに、面倒ごとに巻き込まれましたね(笑)

もともと信秀に呼ばれていた東庵は、尾張の古渡城を訪ねます。

具合が悪いから東庵を呼んだにしては、信秀は元気そうでした。都で田舎者とナメられないように蹴鞠を練習し、体を動かして汗を流していたのです。

先の戦で流れ矢を受けたものの、矢傷は治りつつあると。本題は傷ではなく、「夜眠っているとびっしょり汗をかき、嫌な夢を見る」ということでした。

矢傷と悪夢の因果関係はよくわかりませんが、東庵は光秀への報告の中で、矢傷による毒で、発熱がある、「もう役に立たない(死は近い)」と言っています。

双六をしながら信秀がしきりにマクワウリ(メロンの仲間/美濃真桑村は古くからの産地)をいい音でかじるのが印象的でしたが、これは発熱で水分を欲しているという表れなのだと思います。東庵もその様子と、実際に触ったときに感じとったのでしょう。

人質生活を送る竹千代(のちの徳川家康)

古渡城には、薬草売りに扮した光秀、菊丸も潜入していました。東庵からの情報を待つ間、光秀はまだ幼い竹千代(のちの家康)と出会います。

天文11(1542)年生まれの竹千代はこのとき6歳。竹千代はこの数年前から今川の人質として過ごしていましたが、小豆坂の戦いの間に織田信秀の人質となり、2年ほど尾張で過ごすことになります。

古渡城から逃げ出そうとしていた竹千代は、熱田へ送られる直前でした。わずか3歳で母と引き離され、父に道具のように扱われて人質に出された竹千代は、父・広忠を嫌う一方で母を恋しがっている様子です。

逃げ出して母に会いたいという竹千代に、光秀は干し柿を手渡し、「今は辛くとも、日がかわり月がかわれば人の心も変わります。いずれ母上に会える日が来ます。無理をせず、待つことです」と諭します。「待つ」というのは、家康を象徴する「鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす」を思わせますね。

それにしても、光秀と家康のエピソードといえば「家康接待」の件くらい(しかも途中でやめている)でしたが、「麒麟がくる」ではなんと信長と出会う前に家康と出会ってしまいました。今回の出会いはのちにどう響いていくのでしょうか。

菊丸って何者?

初回から登場している農民の菊丸は、今回光秀の旅のお供でした。

尾張には何度も行ったことがあるという菊丸。帰りの途中で信秀の刺客に殺されそうになるのですが、光秀は先に菊丸を逃し、すんでのところで崖の上からの投石に救われます。

誰が助けてくれたのか(ひとりではない数)は明らかになりませんでしたが、直後にいいタイミングで登場したのが菊丸。なんとなく関係がありそうな雰囲気です。

以前からどうみてもただの農民とは思えない菊丸ですが、いったい何者なんでしょう。忍び?

光秀はのちに、農民出身の人間に討たれてしまうわけですから、その影を感じずにはいられません。もちろん秀吉は佐々木蔵之介さんが演じるので別人なことは明らかですが、「農民」菊丸は光秀の最期に深く関わるキーマンになるような気がします。

本能寺で鉄砲づくり

さて、美濃へ帰った光秀は、道三に報告したあと、「明朝ふたたび登城せよ」と言われます。なんでも、常在寺の住職が鉄砲の話をしに来るのだと。

常在寺住職・日運の話によれば、京の本能寺にて、種子島の末寺を通じて鉄砲を作らせているとか。裏には、将軍家・幕府の主だった人間が関わっていると。将軍・義輝は、鉄砲がいずれ弓矢に代わる戦道具になる、と見ているようです。

本能寺というと、どうしても「本能寺の変」に目が行きがちですが、それ以前の本能寺はどういう寺だったのか。

法華宗本門流の本山である本能寺は、中世に創建され、後期には足利家の保護を受けました。

天文年間ごろには末寺が畿内どころか瀬戸内、九州にまで及び、種子島にまで広まっていました。その関係で、本能寺は鉄砲や火薬の入手ルートを確保できたのです。

いったい、あのような難しいものを誰が作っているのか。次回、光秀はふたたび鉄砲について探るべく、京へのぼります。いよいよ13代将軍足利義輝も登場するようですね。

さて、次回放送に向けての要チェック記事は将軍義輝と関連人物の以下3本です。ぜひご参照のほど、よろしくお願いいたします!


【参考文献】
  • 谷口克広『尾張・織田一族』(新人物往来社、2008年)
  • 奥野高広・岩沢愿彦・校注『信長公記』(角川書店、1969年)

  この記事を書いた人
東滋実 さん
大学院で日本古典文学を専門に研究した経歴をもつ、中国地方出身のフリーライター ...


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