大河ドラマ「べらぼう」 平賀源内と盲人の亡霊!源内はなぜ幽霊物件を買取ったのか?

 大河ドラマ「べらぼう」第14回は「蔦重瀬川夫婦道中」。

 安永7年(1778)、高利貸をしていた鳥山検校らは幕府により検挙されます。同年に起きた旗本・森忠右衛門とその家族の出奔事件が検挙に大きな影響を与えたと言われています(森は高利貸から金を借り、返済できずについに出奔したのです)。

 その時、検挙された盲人は鳥山検校だけではありません。名護屋検校・梅浦検校・松岡検校・松浦検校・相馬検校・神山検校・川西検校らも検挙されたのでした。検校らは座法により処分することになり、江戸追放・財産没収の刑罰が課されます。神山・川西・梅浦検校らは10代将軍・徳川家治の葬儀の際に赦免され、後に復位することになるのです。鳥山検校はそれより早く亡くなってしまったとのこと。

 さて「べらぼう」には安田顕さん演じる平賀源内が登場しますが『近世物之本江戸作者部類』(近世作者部類。戯作者・滝沢馬琴が著した同時代の戯作者評伝)には源内と盲人にまつわる1つの逸話が記載されています。神田辺りに売居の「巨宅」(大きな屋敷)があったのですが、その巨宅の前の持ち主は「某」という「盲人」でした。

 人に高利で金を貸し「暴富」(急に金持ちとなること)となった盲人でしたが、「非理」(道理に外れたこと)が露見し、その運命は暗転したとのこと。この盲人が死んだ後、彼が住っていた巨宅には毎夜その「霊魂」が現れ「ここにあるが見えず、見えず」と尋ね回ったという「風聞」が生まれました。幽霊物件となった屋敷は当然ですが、なかなか売れません。しかし売値は下がっていきます。売値が安くなったと聞いてこの「凶宅」を買い求めたのが平賀源内でした。「やめた方が良いのでは」と源内に忠告する人もいたようですが、源内は聞かず、移住します。

 移住した源内ですが、そこで怪異現象は起きなかったとのこと。ところがその後、半年ばかりして、源内は殺人を犯し、獄中で命果てるのでした。これは『近世作者部類』に載る逸話です。巨宅の前所有者は鳥山検校とする見解もあるようですが、同検校とは無関係のようです。

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  この記事を書いた人
濱田浩一郎 さん
はまだ・こういちろう。歴史学者、作家、評論家。1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。 武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー、日本文藝家協会会員。兵庫県立大 ...

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